家づくりをしているのパッシブデザインって言葉を聞くことがあると思います。
パッシブデザインとは、
「自然のエネルギーを利用したエコで快適な住宅設計」の事を指します。
住宅性能が高い基準の省エネルギーの家。
世界中でパッシブデザインを取り入れた住宅が普及しいます。
しかし、日本では、パッシブデザインを取り入れた住宅を見かける事はほどんどありません。
世の中エコに進んでいるのに、日本の住宅は先進国の中で最下位レベルの住宅性能なんですよね。
しかし、パッシブでエコな住宅を知って、一生お得な住宅を目指しましょう!
太陽の熱を効率よく取り入れた家
自然エネルギーと言えば、「太陽」。
日本で住宅を買うと、「太陽光発電」や「日当たり」を考えても、太陽の熱を利用して、「家の中を暖める」や「太陽の熱を遮って涼しくする」と言ったプランニングを提案してくれる建築会社は無いでしょう。
今日の太陽と明日の太陽は同じではありませんよね。
住宅においても1年を通して太陽のエネルギーを効率よく使う設計をする必要があります。
太陽光の入射角度を計算する
夏の上からぎらぎら照りつける灼熱を取り除き、冬は、暖かいほっこりした日差しを取り入れることでエネルギーを無駄なく使う事ができます。
夏の直射を防ぎ、冬の熱を取り入れる手段として、屋根の軒や庇は有効です。また、軒や庇には、雨から住宅を守ってくる重要な建材でもあります。
単に軒や庇を付ける事は、どんな建築会社でも出来ます。
しかし、太陽の入射角度は毎日変わりますよね。それを考慮しなければ全く意味がありません。
太陽が最も高い位置にくるのは、夏至の6月です。その角度は78度と言われています。それから徐々に角度が下がります。
実は、8月から9月になると、軒や庇では、直射日光を防げない角度に下がりはじめます。
そうかといって、軒や庇を出し過ぎても、遮熱はそれほど期待できず、家が暗くなったり、建築費が高くなりデメリットになってしまいます。
価格を抑えながら、太陽熱を利用できる軒や庇の長さは、60㎝~90㎝が最良と言われています。
では、その時期の太陽熱を防ぐにはどうしたらよいのか?
夏の日差しを遮るには?
日射を遮るものとして思い浮かべるのは、「カーテン」や「ブラインド」ですよね。
実は、カーテンもブラインドも遮熱性が高いとは言えないため、エアコンの使用量が高くなっています。
高性能の遮熱窓を付けていても内側に入った熱を完全に無くすことはできません。
ではどうしたらよいのか?
外から熱を遮る事が一番効率が良くなります。昔から使われていた、すだれやよしず。実は、とてもりにかなっているんです。ただ、デザインがダサいかもしれません。
そこで、現在の住宅に合わせ夏は、サンシェードや外付けブラインドを取り付け、遮熱性の高い窓と組み合わせる事で、ほとんどの熱をカットできるようになります。
なんと遮熱率は80~90%です。
カーテンやブラインドは、遮熱性の高い窓を使っていても、60~70%なんです。断熱としては、それほど優秀ではないんですよね。
現にパッシブ住宅先進国のドイツでは、カーテンはブラインドを付けない住宅が多いんです。
我が家もカーテンを付けない生活をしています。
風通しの良い家はパッシブデザインなのか問題
風も自然のエネルギーですね。
風通しの良い家は、夏の熱せられた空気を外に排出してくれます。
エアコンを使用しなくても快適に過ごせる家があったら、最強のパッシブデザインと言えるでしょう。
しかし、日本では、現実的には不可能です。
猛暑や熱帯夜が連日続き、自然の風だけではどうにもならないのが、日本の夏です。
エネルギー効率を考えると風通しより断熱
冬と夏の光熱費の差は、冬の方が2~3倍も高くなると言われています。
つまり、冬のエネルギー消費を抑えた家づくりを基本にしなければ、光熱費は高くなる一方です。
「風通しの良い家」は聞こえはいいですが、断熱性能や遮熱を考えなければ、まったく無意味な建物になってしまう可能性があります。
暑さ対策は、家の中でからはなく、外から冷ます工夫を
夏の暑さを解消させるために、直接体を冷やしたり、エアコンの設定温度を極端に下げ、夏でもカーテンを閉めたままにするなど、家の中を冷やす事を考えます。
先ほども説明したように、まずは、外から太陽の熱を逃がす方法を考えるのが一番効率の良い方法です。
外から日差しを防ぎ、遮熱性の高い窓を導入すれば、エアコンの使用量は大幅に抑えられます。
土地、気候に合わせた住宅がパッシブデザインの基本
パッシブデザインは、ドイツを中心にヨーロッパで発展しました。日本で言えば、北海道などの寒冷地にあたります。
しかし、日本は縦に長い国土です。
北海道と九州を比べたら全く違う気候ですよね。
その土地に合わせた家づくりを考えなければ、無駄が多くなってしまいます。
その暖房設備必要ですか?
例えば、北海道では、床暖房の普及率が急速に進んでいます。関東に比べたら極寒です。
床暖房は必要な設備になるでしょう。
しかし、次に普及率が高いのは、東京をはじめとした大都市圏なんですよね。
人口が多い事も考えられますが、北海道と東京の寒さを比較したらどうでしょう?必要と言えるでしょうか?
光熱費が高く年間を通して無駄なになる設備を付けるのは、パッシブハウスとは言えません。
本当に断熱性の高い住宅に住んでいれば、4月から11月まで暖房器具すら使う事がありません。しかし、多くの日本人は本当に暖かい住宅を知りません。いくら説明しても信用してくれないんですよね。
エアコンは、最強の冷暖房設備
「エアコンは電気代が高い」
「エアコンは乾燥する」
こんな事を聞いたことがあるかもしれません。
しかし、エアコンの電気代は、暖房機器の中で最も安いんです。ストーブやこたつの様に、体を直接暖める事が出来ないため、効率が悪いイメージがあるのでしょう。
日本で最も売れている冷暖房機器なので、価格も安いです。型落ちなんて性能が変わらないのに、半額以下で購入できるのでそれだけ売れていると言う証拠。
冷暖房ができて、除湿機能まで搭載し、設定温度で室内をあたため、自動で掃除までしてくれます。これ以上コスパの高い製品は、世界中どこを探しても無いでしょう。
パッシブハウスやエコ住宅では、エアコン1台あれば十分なんです。
床暖房などの高額な設備を減らせますね。そして、こたつ、ストーブ、除湿器といった家電も不要です。
ローコストで可能なパッシブハウスこそが総二階建て
パッシブハウスと聞くと特別な家な感じがしますよね。
断熱性能を高め、窓も樹脂サッシのペアやトリプルなど、確かに初期投資がかかります。
しかし、パッシブハウスは、シンプルな住宅と相性が良いので、建築費を抑える事は十分可能です。
パッシブ×総二階建て
総二階建ては、シンプルな作りで間取りに制限がある事から、工期が短く、設計などにかかる費用も少なくなります。そのため、建築費が安くなります。
シンプルで無駄の無い作りは、太陽の熱を十分に取り入れる事ができます。また、部屋中を効率よく冷暖する設計がしやすいので、もっとも適した形が総二階建てとなるのです。
屋根の形状はシンプルでコストを抑えられる上、太陽光発電の性能も最大限に活かす事が出来ます。
建築費が安くて光熱費のかからないエコ住宅は、総二階建て一択しかありません。
窓の性能を上げるだけで変わる住宅
家の中で熱の損失がもっとも大きい個所は、窓です。
その窓の性能を上げるだけで、断熱性は大きく変わります。坪単価で2から3万円上がりますが、快適に過ごせると考えるればまったく高くない買い物です。
30坪で100万円近い投資が必要です。
私は、住んでいる経験から高いとは思いません。1年中快適に過ごせて、結露も起こしませんからね。光熱費も安くなりますからね。
もしも高いと感じるのなら、住みやすさに関係の無い設備費用を抑えて下さい。
特に水回りは無駄にお金をかける人が多いので、絶対に見直しが必要です。
年間の電気代は、5万円に抑えられる!
四人家族の平均的な水道料金を除いた光熱費は、年間20万円前後と言われています。
私の家は、完全なパッシブとは言い切れませんが、Q値=1.0の家です。
年間の水道料金を除いた光熱費が、約13万円です。これは、完全分離2世帯住宅と職場(事務所と倉庫)の光熱費の合計金額です。妻は、専業主婦で家にいるので日中も電気を使います。
つまり、夫婦共働き家庭だったら、ほとんど電気代がかからず、年間5万円以下も可能になります。
最後に
注意していただきたいのが、パッシブデザインと言うのは、完ぺきな答えが出せないと言う事です。
住んでいる地域、気候、住宅密集度、など全てを計算し世界で一つだけの家と言ってもいいくらいの計算が必要です。
しかし、実際に建てられる建築会社は限られているので、本当の意味でパッシブやエコと言った定義の住宅を建てられるのかは、疑問を持たなくてはいけません。
建築会社の宣伝には良い事しか書かれていないので、あなた自身が知識を持って建てることがとっても大事になります。
損をしないためにも、建築について勉強し住宅マニアになれば、無駄の無い省エネルギー住宅が可能になるでしょう。