UA値・Q値が、住みやすい家の基準ではない理由【本当の省エネ住宅】

 

住宅展示場で、UA値やQ値を説明されましたがいまいちよく分かりません。知っていた方がいいのでしょうか?

 

今回はこんな質問に私目線で、お答えします。

 

答えを言ってしまうと「知らなくても問題ありません」。

と言うのも、そもそも住宅のプロですら説明できない方もいるので、中途半端に知ってしまうと無駄にお金を使う可能性があるからです。

 

下記の様な説明を受けると思います。

 

・UA値(外皮平均熱還流率):家の中から外に逃げる熱量を外皮(屋根、天井、壁、床、窓など)で割った数値です。

・Q値(熱損失係数):家の中から外に逃げる熱量を延床面積で割った数値です。

 

・C値(相当隙間面積):家全体の隙間面積を延床面積で割った数値です。

※見落としがちなのは、コンセントの隙間。見えない個所をきちんと施工しているの建築会社を選びたいです。

 

「当社の数値はどこの家よりも優れています!!」

こんな感じで。

 

基準を参考に全国の基準値や他のハウスメーカー、工務店と比べると確かにすごい。

 

ですが、数値がいいからと言って、住みやすい家になるとは限りません。

 

今後の住宅には、省エネ基準に適合している事の説明が義務化されます。そのため、「数値が良い=良い家」といった間違った宣伝をする建築会社が間違いなく増えます。

すでに「UA値」合戦が繰り広げられています。

 

騙されないためにも、住みやすさとは何かをよく考えてみましょう。

 

 

UA値・Q値が、住みやすい家の基準ではない理由

 

 

「UA値」が注目され、家づくりの宣伝文句で使われています。素人ではわかりずらいので、数値が良いからいい家と勘違いします。

 

その1:省エネ基準適否の説明義務化

その2:「UA値」ランキングは無意味

 

上記の理由から「UA値」にこだわりすぎる家に疑問を持っています。

 

解説します。

 

その1:省エネ基準適否の説明義務化

 

2021年から、建物が省エネルギー基準に適合しているかを説明しなければなりません。

 

そもそも、2020年に省エネ基準への適合義務化が見送りされています。延びた理由は、設計説明できる工務店、設計士、建築士少なかったからです。

 

逆に言えば、適合基準を満たす事の出来ない中小工務店は淘汰され、坪単価の高い建築会社の家しか建てられないと言う事。

 

素人から見たら「UA値が高いから仕方ないよね」って思いますよね。

 

その2:「UA値」ランキングは住みやすさと関係ない

 

家の住みやすさと「UA値」の高さは比例しません。

 

  1. 窓が少ない・小さい
  2. 価格が高い

 

①窓が少ない・小さい

 

住宅でもっとも熱が逃げる場所は窓です。

なので、窓の性能を高くすれが、UA値は必ず下がります。

 

当然、窓を小さくしたり少なくしても開口部が減るので、値は下がりますよね。本来の省エネ住宅は、太陽の光や熱を利用した設計です。

 

いくら「UA値」が良くても、光が入らない暗い家や、冬の日光をを利用できない家は、住みやす家とは言えません。

 

②価格が高い

 

「UA値」ランキング上位の坪単価は、ほぼ80万円の家ばかりです。坪単価60万円と宣伝している建築会社のでも最終的には80万円になります。

 

「省エネ基準への適合義務化」を利用して、いらない性能や設備を付けて価格を上げているからです。

 

・太陽光発電

・耐震設備

・床暖房システム

 

上記の設備は、あると便利ですが無くてもよい設備です。

本来ならもっと安く住みやすい家が建つのに、省エネ基準とは関係のない設備で価格を上げています。

 

価格が高い家はローンで苦しむことになるので、住みやすい家ではありません。

 

省エネ住宅はローコストで建てられる

 

坪単価60万円の家なら、省エネ住宅基準は余裕でクリアできます。

 

その1:基本的は窓とサッシ

その2:無駄な投資をしない

その3:住みやすさ重視の家づくり

 

ローコストで家を建てたいなら上記の事を参考にして下さい。

 

①基本的は窓とサッシ

 

  • トリプルガラス
  • 樹脂サッシ

 

窓の性能を上げればUA値は格段に上がります。窓の性能を全て良くした場合、坪単価は2~3万円程あがります。

 

ペアガラスが基準になっているので、トリプルガラスに変更してサッシは樹脂製品に変更しましょう。

 

②無駄な投資をしない

 

①太陽光発電

②床暖房システム

③耐震・免振設備

④見た目重視(漆喰・珪藻土・無垢など)

 

上記の設備や内装は坪単価を上げ、無駄な設備になる可能性があります。

 

①太陽光発電

 

省エネ住宅は、エネルギーを減らすことも目的とされています。

なので、限りなく消費を0に近づけるために太陽光発電の力を借ります。補うための設備と考えて下さい。

 

省エネ基準を満たしていれば、大量にパネルを載せなくても十分賄えます。

 

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②床暖房システム

 

「UA値」高い家と言うのは、一度暖められた空気を外に逃がすことがありません。

 

つまり、本来ならエアコン1台でも十分家中が暖かくなるはずなんですよね。床暖房が無くても十分暖かいのに、あえて入れていると言う矛盾です。

 

クレーム対策なのではと思っています。

 

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③耐震・免振設備

 

国で決められている耐震基準を満たしていれば、そう簡単に倒れる事はありません。しかし、各メーカーは異常なまでに耐震・免振にこだわった家を建てているのが現状。

 

家に対する耐震は、インフラを含めて考えなくてはいけません。

大地震・大津波が来て、自分の家だけ助かったとしても、住める土地では無くなります。

何年も我慢してようやく普及すします。耐えられますか?

 

④見た目重視(漆喰・珪藻土・無垢など)

 

UA値に優れた家は、結露がほぼおきません。

換気設備も優れています。常に新しい空気の入れ替えを暖を失う事無くできるシステムを備えています。

 

なので、漆喰や珪藻土で湿気を吸うとか、意味のない説明をしてお金を取ります。

 

見積りを依頼したある工務店では、漆喰の内装をすすめられました。
なんでもマイナスイオンが出るのだとか。こんな科学的根拠の無いウソでお金を取ろうとするとは。もちろんお断りしました。

 

住みやすさ重視の家づくり

 

シンプルな総二階

間取りはマンションを参考

 

①シンプルな総二階

 

総二階建ては、凹凸が少ないので無駄に熱を逃がすことがありません。

空気の流れも作りやすいので、暖められた空気を効率よく家全体に伝える事ができます。

 

また、切妻屋根の軒で太陽光の遮蔽を考え、自然の力を利用し暖を取ったり、夏の熱を妨げたりするのに適した構造が作りやすいです。

 

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②間取りはマンションを参考に

 

一般的なマンションの間取りってシンプルですよね。ほとんどが同じような間取りになっています。

狭い空間の中で、いかに住みやすくなるかを設計しているからです。

 

家事動線を最短で動けたり、掃除が楽だったりを優先して間取りを決めるのが鉄則です。

 

見た目重視の注文住宅は、無駄が多く住みずらい家になっています。

 

最後に:省エネ基準は住む地域で違う

 

 

省エネ基準は、住む地域によって異なります。

 

北海道など1年の内半分が寒い地域と、比較的暖かい太平洋側の地域では同じ家を建てる必要がありませんよね。

しかし、寒冷地と同じ基準で家をたてる建築会社もあります。

必要ない設備でUA値にこだわり、家の価格を上げている家です。

 

「省エネ基準への適合義務化」でほぼすべの家が省エネ基準となるので、当たり前の性能として建築会社は作るべきでなんですけどね。金儲けの基準になっていますからね。

 

数値にこだわりすぎて、住みやすさを無視した家になっていないかもう一度確認しましょう。